整形外科担当獣医師、概要、医療機器、症例のご紹介

整形外科

担当獣医師

整形外科の紹介

整形外科は、骨折、脱臼、靱帯損傷、などが主な症例です。
触診やレントゲン検査を行い、骨や関節、骨格筋、靱帯、腱などの状態を把握します。
特殊な検査として、CT検査や関節液検査などを行います。
検査結果をもとに外科手術が必要な場合、術前計画をたて、早期の運動機能の回復を目的に手術を実施します。

よくある症状

  • 歩き方がおかしい
  • 肢を痛がる
  • 座り方がおかしい
  • 骨折している
  • 脱臼している

等々、その他どのような症状でも気軽にお尋ねください。

整形外科で使用する医療機器の紹介

整形外科インスツルメント

骨折の手術や脱臼の整復などの手術に必要な整形外科の特殊な器具になります

各種整形外科インプラント

主に骨折の手術に用いる挿入する器具になります

CT

複雑な骨折などに対して、3D画像を作成し、術前計画を立るのに有用な機械になります

透視X線装置

手術中に骨折の整復などを確認できるX線装置

症例紹介

橈尺骨骨折

近年では小型犬の落下や飛び降りが原因でよくみられます。
骨折の整復にはギブスによる固定や手術による方法などがありますが、小型犬の場合、ギブス固定による癒合遅延・癒合不全の発生がみられるため、手術による整復が推奨されています。手術は創外固定やプレートによる内固定を実施します。

骨盤骨折

骨盤骨折は骨折全体の20〜30%を占める骨折で、比較的よくみられる骨折の一つです。
骨盤骨折は外傷(交通事故や落下など)によっておこる事が多く、また、骨盤内には尿道や直腸などがあるため、それらの軟部組織の損傷や神経の損傷も評価しなければなりません。保存療法が可能ですが、骨折形態によっては手術による整復が必要です。また、骨盤周囲には多くの筋肉が多いため、状態が安定すれば早期に手術をすることが勧められます。

大腿骨骨折

この骨折は大きな衝撃に(落下事故や交通事故)よって引き起こされ、発生率は全ての長管骨骨折の約45%を占めます。骨折の整復はギブスなどの外固定による治療は難しく、手術による整復が適用されます。
手術方法には骨折部位・形態によって、プレートやピンなどによる内固定や創外固定方が選択されます。

脛骨・腓骨骨折

下腿(スネの部位)は太い脛骨と腓骨が存在する部位で、この骨折は長管骨骨折の21%を占めます。
この部位での骨折は外固定(ギブスなど)や手術による整復が可能で、プレートやピン、創外固定などのインプラントが選択可能です。

前十字靱帯断裂

前十字靱帯は膝関節を構成する靱帯の一つです。
前十字靱帯断裂は中高齢の犬にみられる病気で、激しい運動後、痛みや跛行(ビッコ)を引き起こします。
体重や断裂の程度により、保存療法、外科手術によって治療します。手術では特殊な糸を用いた関節外法や骨切を行って膝を安定化する方法があります。
また、この病気は膝蓋骨内方脱臼を持っている症例では発生のリスクが上がることも知られています。

特発性免疫介在性多発性関節炎

多くの関節炎の中の1つで、免疫が関係している病気です。はっきりとした原因は不明で、関節炎であるにも関わらず、跛行(ビッコ)がみられないことも多く、発熱や元気低下などの症状がみられます。診断は関節液検査、血液検査などによってなされます。治療は免疫抑制剤の使用により、多くの場合、症状が改善します。

肩関節脱臼

前足の関節の一つである肩関節脱臼は、外傷などによって引き起こされます。また、トイ・プードルやシェットランドでは先天的な肩関節の形成不全より、脱臼がみられます。
脱臼や症状(跛行や痛み)にもよりますが、手術を行う場合、関節固定術や人工靭帯を用いた方法などがあります。

股関節脱臼

骨盤と後肢をつなぐ股関節の脱臼で、落下や事故などによって引き起こされます。また、股関節形成不全を持っている症例では脱臼のリスクが高いです。
脱臼の程度(脱臼してからの時間や脱臼の方向)や症状(跛行や痛み)にもよりますが、手術を行う場合、人工靭帯を用いたトグルピン法や創外固定により関節を安定化させます。
関節の安定化がうまくいかない場合、救済処置として大腿骨頭切除術を実施する場合があります。

仙腸関節脱臼

仙腸関節は骨盤と背骨をつなぐ関節です。
落下事故や交通事故などでこの関節が脱臼し、ビッコや腰の痛みがみられます。
レントゲン検査で診断を行う場合がありますが、この脱臼の場合、骨盤の骨折もみられる事が多く、骨折の部位や程度によっては骨折の手術も行う必要があります。
脱臼はスクリューやピンを用いて脱臼を整復します。

膝蓋骨内方脱臼

膝蓋骨が内側に脱臼する状態で、主に小型犬の成長期にみられます。
症状としては跛行や脱臼時の痛み、O脚姿勢などがみられます。膝関節の触診やレントゲン検査によって診断を行い、脱臼の程度によりGradeが4段階に分けられます。
Grade2以上が手術の適応といわれていますが、年齢や症状、骨の状態により経過観察や手術を決定していきます。
手術方法は様々な方法を組み合わせて脱臼や骨の変形を整復していきます。
この病気を持った症例では将来的に前十字靱帯断裂を引き起こすリスクが高くなります。

レッグ・カルベ・ぺルテス病(大腿骨頭虚血性壊死)

小型犬の成長期(5〜8ヶ月齢)によくみられる大腿骨頭や骨頸の非炎症性無菌性壊死を引き起こす病気です。
原因は明らかになっていませんが、外傷によるもの、遺伝的なものなどが報告されています。
初期では軽い跛行がみられ、骨頭や骨頸の変形とともに、症状がひどくなり痛みを伴います。
内科および外科治療がありますが、内科療法の反応は乏しいため、外科的に壊死した骨頭や骨頸を切除する大腿骨頭切除術が主に用いられます。
術後はリハビリにより普段の生活を難なく送ることができます。

リウマチ様関節炎

リウマチ様関節炎は免疫が関係している進行性の病気で、ヒトのリウマチに類似していることから“リウマチ様関節炎”といわれています。手首や足首の関節によくみられ、進行すると骨が破壊され、関節が不安定となり歩行ができなくなります。
特殊な血液検査や関節液検査、症状などから診断され、治療には進行を抑えるために免疫抑制剤や抗リウマチ薬を使用します。


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